認定インストラクター・活動方針と事例集

やっててよかった『ハグ育』 ~下村まり子さん

作成者: naik|Aug 7, 2026, 2:00:18 AM

保育教諭として働いて23年目になります。幼稚園、保育園、乳児保育園で働き、現在は認定こども園に勤務しています。各クラスのサポートに入りながら、日々の保育の中で多くの気づきと困惑がありました。

発達が気になる子どもとグレーゾーンにいる子どもへの対応についてです。

発達が気になる子どもについては、間違ったアプローチをして苛立たせてしまい、気持ちを落ち着かせるのに苦労したことが幾度かありました。

グレーゾーンにいる子どもには、周囲の子どもたちと同じようにできるはずだからという、自分自身の考えにとらわれた関わりかたをしていた部分があったことに気づきました。しかし、それでは子どもの本当の気持ちや困り感に十分に寄り添えていなかったのではないかと感じるようになりました。

そしてもうひとつ、発達が気になるという理由で早期に療育につなげることが最優先課題のようになってきていることにも気がかりがありました。

もちろん専門的な支援を必要とする子どもにとって、適切なタイミングで療育につなげることは大切だと思います。保護者にとっても、専門機関につながったことで安心できる面は大きいようです。

ただ、保育者側が療育につなげることができたと安堵している雰囲気に、園としての関わりはこのままで良いのだろうか、何かできること、やるべきことがあるのではないかという葛藤も生じていました。

発達に気がかりがある子どもたちが求めていることに気づき、応えられるアプローチ法などについて学びたいと考えていた時に目に入ってきたのが「アタッチメント」という言葉でした。

今回の講座を受講し、「アタッチメント」について学んだことで、これまでの自分の関わり方を改めて見直すきっかけとなりました。

子どもの年齢ではなく発達を段階で捉える、社会生活スキルのどの部分が苦手なのだろうかと、自分自身の子どもを見る目と意識が大きく変わりました。

実際に関わった子どもの中に、活動への参加が難しく、離れた場所で遊ぶことが多い子がいました。その子の動きをミラーリングしたり、少し離れた場所から見守ったりして関わるようにしました。しばらくすると、その子は玩具を持って私のところに来てくれるようになり、笑顔を見せてくれる場面が増えてきました。

食事中に介助されることを拒んでいたその子が、「てつだって」とばかりにスプーンを差し出してくるようにもなりました。安心できる関係が少しずつ築かれていることを感じました。丁寧に、そしてその子に合った関わりの大切さが分かった瞬間でした。

タイトルにもしましたが、私の園では「ハグ育」を行っています。

「がんばったね」「できたね」「かなしかったね」と様々な場面で、そして降園の時には一人ひとりと挨拶を交わし「むぎゅーっ」とハグをします。小さい子たちは挨拶もそこそこにとびついてきます。大きい子たちも床から両足を離してしがみついてきます。「中学校を卒業しました」「高校を卒業しました」と報告に来てくれる成長した卒園生たちともハグをしています。

以前はスキンシップを大切にしていたものの、その意味を深く考える機会は多くありませんでした。しかし今回の講座を受け、スキンシップは子どもの安心感や信頼関係を育てる大切な関わりであることを改めて実感しました。

そして、やっててよかったと・・・。

講座を通して、これからの子どもたちとの関わりで大切にしていきたいことが、より明確になりました。

  • 豊かなアタッチメントのもとに育てると、子どもの発達に良い影響を与える
  • 発達障害児のアタッチメントは、年齢ではなく段階で捉える
  • 発達障害児の場合は特に手間をかけて取り組む
  • アタッチメントを満たしてあげると情緒が安定し、問題行動が減少し、社会スキルの獲得と社会適応がしやすくなる
  • 社会で必要なスキル形成のために苦手に気づいてあげて、どのスキルに働きかけているのかを理解した上で、苦手なスキルへのアプローチに取り組む
  • 他の子と比べず、出来ない事を認め、出来ることをしっかり褒めて伸ばす
  • 子どもの特性を認識して、それに合った関わりをする

これらのことを常に心に留めて、子ども一人ひとりの得意なこと、苦手なことや嫌いなことに合わせて丁寧に関わり、百人百色の支援を心がけていきたいと考えました。

保護者支援では、次のことを大切にしていきたいと思います。

  • 子育ての基本である「ありのままのわが子を認める」と発達に違いが出るということ
  • 先の見えない、得体が知れないという不安や不満、ストレスを少しずつ取り除けるよう丁寧に話を聞く
  • 共感する姿勢を大切にする
  • 保護者が頑張ってやっていることを褒めて、ねぎらうことを言葉にして伝える
  • 「一緒に取り組んでいきましょう」のスタンスを伝える
  • 親が育ってほしいように育てるのではなく、子どもが望むように育てる

このことを意識しながらの対応を心掛け、「発達の心配を相談できる」「取り組みを指南してあげる」「安心を与えてあげる」、そして「いいんだよ!それで!」の気持ちになってもらえるよう、常に応援者でありたいと考えます。

今回の講座を受講して、子どもとのアタッチメントを基盤とした関わりの重要性を改めて学ぶことができました。

「子どもにとっては、園での安全基地でいられるようにする」

「保護者には心の不安、疲労を軽減し、子育てが楽しいと思ってもらえるようにする」

「親子の笑顔を増やしてあげられるようにする」

子どもと保護者に寄り添いながら支援できる発達支援療育アドバイザーを目指し、今後も知識と理解を深め、より良い支援ができるよう努めていきます。

この事例で活用されている講座

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